アディダスのマークは、一見シンプルなロゴに見えても、その背景には豊かな歴史とブランド戦略が込められています。
三つ葉やパフォーマンスロゴをはじめとした種類ごとの違いは、用途や時代によって明確に分けられており、オリジナルスと競技用ラインでは意味や由来も異なります。
また、新旧ロゴの変遷や、有名モデルの名前の背景にある“おじさん”ことスタン・スミス、さらにスケート界のレジェンドであるゴンザレスとのコラボによる特別なロゴも存在します。
加えて、キャプテン用製品に採用される専用デザインなど、アディダスのロゴは多様なシーンで独自の役割を果たしています。
本記事では、これらの特徴や背景を整理しながら、見分け方や選び方をわかりやすく解説します。
■本記事のポイント
- アディダスでマークの種類とそれぞれの用途の違い
- 三つ葉ロゴなど主要ロゴの意味や由来
- 新旧ロゴの歴史的変遷と特徴
- 偽物と本物ロゴの見分け方や注意点
アディダスでマークの意味と見分け方
アディダスの製品にあしらわれたマークは、一見すると似たデザインが多く、違いを意識せずに選んでしまう方も少なくありません。
しかし、それぞれのマークには歴史や背景、そして明確な用途の違いがあります。
トレフォイル、三本バー、バッジ オブ スポーツ――これらは単なるデザインではなく、ブランドの成り立ちや理念を映す象徴です。
ここでは、代表的なロゴの種類や呼び名、三つ葉ロゴの誕生秘話までを整理し、見分けるための視点を詳しく解説します。
読み進めることで、あなたのアディダス選びが一段と楽しく、確かなものになるはずです。
アディダスのロゴの種類と名前
まず整理します。
現在の公式区分では、アディダスの主役ロゴは「パフォーマンス（Performance）ロゴ＝三本バー」で、全ブランドを束ねる基幹マークとして使われます。
加えて「バッジ オブ スポーツ（Badge of Sport）」は“adidas Sportswear”ラインの象徴、「トレフォイル（Trefoil／三つ葉）」は“adidas Originals”のブランドマークです。
いずれも三本線を核にしつつ、用途と対象ユーザーで役割が分かれています。
こう考えると、名前と用途をセットで覚えるのが最短です。
公式の説明でも、三本バーは現在のメイン、バッジ オブ スポーツはスポーツ由来のデイリー、トレフォイルはヘリテージと位置づけられています。
これを歴史で補足します。
1972年にトレフォイルが誕生し、当時は“パフォーマンス”の象徴でした。
その後、1991年に「エキップメント（Equipment）ロゴ」と呼ばれる三本バー配置が登場し、1996年にはこのモチーフを発展させた「バッジ オブ スポーツ」も加わります。
現在は再編を経て、三本バー＝パフォーマンスが“ブランド全体の核”として用いられ、トレフォイルはオリジナルス専用に、バッジ オブ スポーツはSportswearの印として使い分けられています。
年次や役割の変化まで押さえると、見分けの精度が上がります。
ここで名称一覧を実務目線でまとめます。
パフォーマンス（英語表記は“Performance logo”／三本バー）、バッジ オブ スポーツ（“Badge of Sport”／三本バー＋adidasワードマークの構成）、トレフォイル（“Trefoil”／三つ葉）、そして文脈によっては「エキップメント（EQT）ロゴ」という歴史用語も出ます。
さらに、製品表記では“linear（リニア）”のワードマークだけが大きく出る場合もありますが、これは“ロゴタイプ（字ロゴ）”の扱いで、三本線モチーフの象徴マークとは区別して理解すると混乱しません。
メリットと注意点も押さえます。
メリットは、ロゴの種類が「どのラインの製品か」を即時に示す指標になる点です。
例えばトレフォイルならオリジナルスのヘリテージ文脈、パフォーマンスなら競技志向が中心と判断しやすく、購入の目的に合わせて選べます。
一方で注意点として、三本線に“数字の象徴的意味”があるという通説は、公式が明確に否定しています。
写真写りを検証する中で三本が最も視認性が高かったという実務起点の説明が公表されています。
うのみにした解説に引きずられないようにしましょう。
最後に、見分けのコツです。
まず、三本バーが斜めに組まれた単体または小さなワードマーク併記ならパフォーマンス系、三枚葉のシルエットならトレフォイル、台形状の三本バーと“adidas”の組み合わせならバッジ オブ スポーツという順で判断します。
もちろん、年代物の復刻やコラボでは例外が出ますが、公式のロゴ再編（2023年の整理）を基準に見れば迷いにくくなります。
三つ葉ロゴの意味や由来
結論から述べると、三つ葉ロゴ＝トレフォイルは、1972年に導入された“花のモチーフに着想を得た”デザインで、現在はadidas Originalsの象徴として機能しています。
初登場はアパレルで、その後シューズにも展開され、2000年以降はヘリテージ文脈を担う専用マークになりました。
つまり、今日の三つ葉は“過去と未来のアイコン”としての役割が中心です。
なぜ三つ葉なのか。
公式の由来説明では、当時のチームと外部デザイナーの共同制作により「フローラル（花）」から発想された意匠で、三本線のDNAを葉脈のように貫かせた構成とされています。
このとき、三本線に数秘的な意味は付されていません。
創業者アディ・ダスラーが試作段階で“写真映えする本数”として三本線を採用したという実務的背景が明言されており、トレフォイルもその延長で“視認性と一貫性”を両立する記号として成立しました。
一方で、「三つ葉は三大陸を表す」といった解説は流布していますが、公式史では“当時はパフォーマンスの象徴、現在はオリジナルスの象徴”という役割説明が中心で、地理的寓意は一次情報として確認できません。
ここでは、ブランド自身が語る意味付けを重視するのが安全です。
前述の通り、1972年の登場時点では競技の象徴、現行ではライフスタイルとカルチャー由来のスタイルを担うマークというのが公式スタンスです。
具体例でイメージしましょう。
オリジナルスの代表作や復刻モデル、カルチャー寄りのコラボレーションでは、シュータンやタグにトレフォイルが配されます。
一方、最新ランニングやトレーニング向けの競技系モデルはパフォーマンスの三本バーが中心で、トレフォイルは基本的に登場しません。
もし競技用途で三つ葉を探す場合、機能要件とラインの想定がずれる可能性があるため、用途に適したロゴ＝ラインを選ぶ視点が有効です。
メリットと注意点も整理します。
メリットは、トレフォイルが“アディダスの歴史とストリート文化”を象徴する強い記号であり、コーディネートの主役になる視覚的インパクトを持つ点です。
逆に注意点は、スポーツパフォーマンス観点では最新テクノロジー搭載の製品が別ロゴ側に多いこと、さらに“トレフォイル＝本物の古着”と早合点しやすいことです。
いずれにしても、三つ葉は現在公式にオリジナルスのマークとして定義されているため、購入前に“どのラインの製品か”を必ず確認すると失敗が減ります。
なお、色についても豆知識です。
現行の再編では、パフォーマンスとSportswearのロゴは基本モノクロ運用、トレフォイルは黒白に加えて“オリジナルスの青”で見かける機会が多いと説明されています。
店頭やECで色運用が異なっても驚かないでください。
ロゴの形と配置で見分けるのがコツです。
オリジナルとパフォーマンスの違い
オリジナルとパフォーマンスの違いは、ロゴの形式だけでなく、ブランドとしての立ち位置にも関わります。
まずオリジナル（Originals）は、1972年に登場した三つ葉ロゴ（トレフォイル）を使う、アディダスの“ヘリテージ”やストリート文化をテーマにしたラインです。
一方でパフォーマンス（Performance）は、1991年に登場した三本バーのロゴ（マウンテンまたはバッジ オブ スポーツ）を使用し、スポーツ性能や機能性を重視する製品群に使われます。
オリジナルは過去の名作の復刻やファッション性に富んだアイテムが中心で、例えばスーパースターやスタンスミスなど、文化的な影響力のあるモデルを展開しています。
これに対しパフォーマンスは、ランニング、トレーニング、サッカーなど、競技性にフォーカスしたテクニカルな機能を備えたカテゴリーです。
用途によってラインを使い分けることで、ユーザーは自分の目的に合った製品を直感的に選びやすくなります。
ただ、混乱してしまう場面もあります。
なぜなら、ストリートファッションでは近年、パフォーマンス用ロゴ（三本バー）がオリジナルスのアイテムに使われることもあり、純粋な切り分けが難しくなってきているからです。
それでも製品の素材や機能、ラインの意図を確認すれば、より適切な商品選びができるようになります。
新旧ロゴの変遷と特徴
アディダスのロゴは時代とともに形を変えながら、その意図や用途によって使い分けられてきました。
最初は1949年に創業者アディ・ダスラーが靴の安定性を高めるために導入した“3本線”が原点で、それがブランドアイコンとして浸透していきました。
1972年には、アパレルへの展開をきっかけに三つ葉（トレフォイル）ロゴが誕生しました。
三つ葉は花のような形状で、ブランドの多様性と広がり（主要市場の3地域を象徴したという説明もあり）を表現しています。
1991年、機能性重視の“Equipment”ライン登場とともに、三本バーが斜めに配置された“山”のようなロゴが登場しました。
これは挑戦や前進を意味するデザインとされ、のちにバッジ オブ スポーツとしてアディダス全体に展開されます。
2000年代以降はロゴが明確にラインで使い分けられるようになり、オリジナルスには三つ葉、パフォーマンスには三本バー、スポーツウェア系にはバッジ オブ スポーツが、それぞれのアイデンティティとして定着しています。
見た目の違いだけでなく、商品がどのラインに属するかを判断する指標にもなっており、歴史と用途の理解が深まるとロゴの見分けがラクになります。
スタンスミスの“おじさん”は誰
ここで登場する“スタンスミスのおじさん”とは、テニスシューズ「スタン・スミス（Stan Smith）」の名前の由来となった実在の人物、スタン・スミスというアメリカのテニス選手です。
1970年代のトッププレーヤーであり、フォレスト・時代の象徴的な存在でした。
このモデルはもともと「ロベール・エイレ」（Robert Haillet）というフランス人選手の名前を冠して登場しましたが、彼の引退後に名前がスタン・スミスに変更されました。
1978年頃を境に、スミスの顔とサインがタン（舌部分）に掲載されるようになり、その後“スタンスミス”として世界的ヒット商品になりました。
この背景には、ブランドが“人物名＝シンボル”と結びつくことで商品に感情的な価値を加え、文化的アイコンへ昇華させる狙いがあります。
ただ、テニス用としての実用性はすでに現代の競技には追いついておらず、現在ではファッション性や歴史価値が主な魅力となっています。
こうしてスタン・スミスは“おじさん”と呼ばれる愛称だけでなく、アディダス Originalsラインにおけるレガシーモデルとしての役割を担い続けています。
アディダスでマークの歴史と最新動向
アディダスのマークは、時代ごとのスポーツ文化やファッションの流れを映し出す鏡のような存在です。
誕生当初の機能的な三本線から始まり、競技の象徴として進化したロゴ、そして現代ではストリートやアートとの融合まで、多彩な変遷を遂げてきました。
さらに近年は、アーティストとのコラボによる新しいロゴ表現や、プロスポーツの現場での使い分け、そして市場を席巻する偽物との見分け方など、話題は尽きません。
ここでは、ブランドの歴史的背景とともに、最新のロゴ活用のトレンドや注目事例を詳しく解説していきます。
三本線とアディダス マークの関係
アディダスの歴史を語るうえで、三本線の存在は欠かせません。
創業者アディ・ダスラーは、元々靴の安定性と補強を目的としてアッパーにストラップを配置していましたが、そのストラップを目立たせるために色を変えたことがきっかけで、三本線がビジュアル的なシンボルとなりました。
さらに1952年、フィンランドのスポーツメーカー「Karhu Sports」から三本線の商標権をわずか1,600ユーロ相当と2本のウィスキーで買い取り、正式にアディダスのトレードマークとして確立しました。
このエピソードは、ブランド誕生の裏話としてもよく知られています。
この三本線は単なる装飾ではなく、商品や広告において一目でアディダスと分かる“視覚言語”として機能します。
1971年には三本線を基調にした三つ葉ロゴ（トレフォイル）が誕生し、アパレルやスニーカーの象徴として長年愛されました。
そして1991年には三本線を斜めに再構成した「Equipmentロゴ」が登場し、“山”のようなシルエットで挑戦と成長を表現。
現在ではこれが発展してパフォーマンスロゴとして、スポーツラインの中核的なシンボルになっています。
三本線は、サイドストライプや肩の装飾、ソールの意匠など、あらゆる製品デザインに組み込まれています。
これにより、ロゴが見えなくても、ストライプの配置や角度だけでアディダス製品と判断できるほどの認知度を獲得しました。
言い換えれば、三本線は“ロゴとデザインを繋ぐ架け橋”であり、パフォーマンス・オリジナルスを問わずブランドの核を成す要素なのです。
クラブユニでの最新ロゴ動向
サッカーをはじめとするクラブユニフォームにおけるアディダスのロゴは、ここ数年で変化を見せています。
特に欧州トップリーグや代表チームのユニフォームでは、従来のパフォーマンスロゴをベースにしながらも、過去の名作や記念シーズンにはトレフォイル（レトロロゴ）を復活させるケースが増えました。
これは、伝統を大切にしつつ現代的な技術を融合させるブランド戦略の一環と考えられます。
2025-26シーズンの例では、リヴァプールやアーセナル、レアル・マドリードといったクラブが最新のAEROREADYテクノロジーを採用し、軽量性と通気性を両立したユニフォームを展開しています。
その一方で、サードキットや特別記念モデルには、あえてトレフォイルを採用してクラシックな雰囲気を演出する動きも見られます。
さらに、2026-27シーズン以降はサードキットに関して再び近代的なパフォーマンスロゴへ回帰するという計画が報じられています。
この背景には、世界的に人気の高いクラブのユニフォーム市場で、より洗練された現代的デザインを求めるファン層の存在があります。
特に若年層や新規ファンの獲得を狙う場合、パフォーマンスロゴの方がスポーティかつフレッシュな印象を与えるため、有効な選択肢とされているのです。
こうして見てみると、クラブユニにおけるロゴ選択は単なるデザインの好みではなく、ファン層や市場の動向、ブランド戦略が複雑に絡み合った結果であることが分かります。
ユニフォームを見る際は、色や柄だけでなく、どのロゴが使われているのかに注目すると、その裏にある意図や背景を読み解く楽しさが一層増すでしょう。
ゴンザレスとShmoofoilロゴ
Shmoofoil（シュムーフォイル）は、世界的に有名なスケートボーダーでありアーティストでもあるマーク・ゴンザレス（Mark Gonzales）とアディダスのコラボレーションから誕生した独自のロゴです。
ゴンザレスは80年代からスケートカルチャーを牽引してきた人物で、その自由奔放なスタイルと独特のアートワークは、多くのファンにとってカリスマ的存在になっています。
Shmoofoilは、アディダスの三つ葉ロゴ（トレフォイル）をベースにしながら、そこに彼が描く「Shmoo」と呼ばれる丸みのあるキャラクターを融合させたデザインで、既存のブランドイメージに遊び心とストリートアートのテイストを加えています。
このロゴは、単にアディダスとゴンザレスのコラボを示す印ではありません。
ストリート文化とスポーツブランドの交差点に立つ象徴として、アディダスのOriginalsラインやスケートボーディング製品に使用され、若い世代やアートに敏感なファン層から高い支持を得ています。
たとえばTシャツやパーカー、スケートシューズなどにShmoofoilがプリントされることで、着る人はスポーツブランドの信頼性とアーティストの個性を同時に表現できます。
こうした背景から、Shmoofoilは「ただのコラボロゴ」にとどまらず、ブランドのカルチャー的価値を高める役割を果たしているのです。
キャプテンマーク製品とロゴ
キャプテンマークは、サッカーやラグビーなどチームスポーツにおいてキャプテンを識別するための重要なアイテムです。
アディダスが展開するキャプテンマーク製品は、機能性と視認性を両立するように設計されています。
代表的なモデルである「Tiro League Captain’s Arm Band」では、大きな「C」の文字と三本線のモチーフを組み合わせたデザインが特徴で、遠目からでも一目でキャプテンであることが分かります。
素材には82％リサイクルポリエステルと18％エラスタンを採用し、伸縮性とフィット感を確保しながら環境負荷を低減する工夫もなされています。
さらにフック＆ループ式の留め具を採用することで、試合中でも素早く着脱できる仕様になっています。
一部のモデルや限定版では、クラブチームやナショナルチームのエンブレムとアディダスロゴを同時に配することで、公式試合用としての価値やコレクション性も高まります。
例えば、レアル・マドリード公式ショップで販売されるキャプテンマークは、チームカラーや紋章が目立つ位置に入り、そこにアディダスの三本バーが添えられることで、ブランドとクラブの両方のアイデンティティを表現しています。
こうしてキャプテンマークは、単なる識別道具ではなく、リーダーシップの象徴であり、試合の緊張感や誇りを視覚的に伝える存在となっています。
偽物と本物ロゴの見分け方
アディダス製品は世界的に人気が高く、そのため偽物も多く流通しています。
本物と偽物を見分けるためには、ロゴの品質やディテールを細かくチェックすることが不可欠です。
まず確認すべきは、ロゴの加工方法です。
本物ではロゴが刺繍や高品質の熱圧着プリントで仕上げられており、ラインや文字の輪郭が非常にシャープです。
これに対して偽物は、印刷がにじんでいたり、フォントの形や太さが本物と微妙に異なることがあります。
特に“a”や“d”の形が崩れている場合は要注意です。
次にタグやシリアルコードのチェックです。
本物のアディダスシューズでは、左右の靴で異なるシリアルコードが付けられますが、偽物では左右同一コードのことが多いです。
さらにサイズタグの印字品質も重要で、本物は均一でくっきりとした印字が特徴なのに対し、偽物は文字の太さがまばらだったり、滲みが見られることがあります。
縫製も重要な見分けポイントで、本物はステッチの間隔が均一で糸のほつれがありませんが、偽物は縫い目が曲がっていたり、糸端が処理されていないことが多いです。
オンライン購入の場合は、公式サイトや信頼できる正規販売店を利用することが最も安全です。
中古やマーケットプレイスでの購入では、出品者の評価や写真の解像度、本物と比較したディテールの一致度を確認しましょう。
こうした慎重なチェックを習慣化すれば、偽物をつかまされるリスクを大きく減らすことができます。
【まとめ】アディダスのマークについて
最後に本記事で重要なポイントをまとめます。
