箱根駅伝の給水シーンを見て、給水係が赤と青のボトルを2本同時に差し出す姿や、選手とグータッチを交わす場面に、なぜ2種類あるのか?と気になった人も多いはずです。
特に箱根駅伝の給水2種類について詳しいルールを知らないと、給水ポイントごとの違いや役割が分かりにくく感じられます。
実際には、箱根駅伝の給水はレース全体の安全と公平性を守るために細かいルールが定められており、いつから今の形式になったのか、女子の学生や関係者が給水係を務めることはあるのか、誰でもできる?という素朴な疑問もよく話題になります。
給水ポイントは区間によって設置場所や回数が決まっており、そこで選手に渡される水やスポーツドリンク、さらに近年注目されているスペシャルドリンクの扱いも、運営側の規定の中で整理されています。
最近では、選手の父親が給水係として並走したケースや、有名大学の教授が学生ランナーとともに走る姿が取り上げられ、給水シーンが箱根駅伝のもう一つの見どころになっています。
ゴールを目指す選手を支える人たちがボトルを掲げて乾杯するように見える瞬間や、グータッチで思いを託す姿には、大会を支える多くの人のドラマが凝縮されています。
この記事では、箱根駅伝の給水2種類の中身や目的、給水ポイントの配置、給水係の条件や役割などを整理しながら、なぜこのスタイルに落ち着いているのかを解説していきます。
テレビ中継を見ながら疑問を抱いた人も、これを読むことで箱根駅伝の給水シーンをより深く楽しめるようになります。
■本記事のポイント
- 箱根駅伝の給水2種類の中身と役割
- 給水ルールやポイント配置の基本構造
- 給水係を務める人の条件やエピソード
- スペシャルドリンクや乾杯シーンの背景
箱根駅伝で給水2種類の概要

箱根駅伝の中継を見ていると、選手が受け取る給水ボトルが必ず2種類用意され、給水係が走者と並走しながら巧みに渡していく場面が目に留まります。
この一瞬のやり取りの裏には、水とスポーツドリンクという異なる役割を持つ飲料の使い分けや、大会全体の安全性・公平性を維持するための詳細なルール、そして選手を支える給水係の技術や心配りといった多くの要素が組み込まれています。
さらに、女子の給水係の参加、選手と係のグータッチに込められた意味、給水ポイントの配置に隠された戦略など、知れば知るほど奥深い背景が広がっています。
ここからは、箱根駅伝の給水2種類がどのように運用され、その仕組みがどのような意図で設計されているのかを、基礎から順を追って分かりやすく解説していきます。
なぜ2種類あるのか?の背景

箱根駅伝で給水ボトルが2種類用意されているのは、見た目の分かりやすさだけが理由ではありません。
長距離レースでは、身体の冷却や喉の渇きを抑えるための水分補給と、エネルギー源・電解質を補うための補給をバランス良く行う必要があります。
箱根駅伝でも同じ考え方が採用されており、その役割の違いを明確にするために、水とスポーツドリンクという2種類が基本とされています。
一般的に、水は無味に近く、粘度も低いため、口の中をさっぱりさせたり、顔や首筋にかけて体温を下げたりするときに使いやすい飲料です。
一方で、スポーツドリンクは糖質と電解質(ナトリウムやカリウムなど)を含んでいるものが多く、長時間の運動で失われたエネルギーとミネラルを同時に補えるように設計されています。
運動時の水分補給に関するスポーツ医学の知見でも、1時間以上続く運動では、適度な糖質と電解質を含む飲料の利用がパフォーマンス維持に有利だとされています。
箱根駅伝では、選手が一瞬でボトルの種類を見分けられるよう、ペットボトルには色の異なるテープが巻かれています。
過去の大会要領では、赤色系のテープが水、青色系のテープがスポーツドリンクとされることが多く、給水係が選手に向かって2本を同時に差し出すスタイルが定着しています。
色と位置がある程度パターン化されていることで、選手はスピードを落とさずに必要なほうを素早く選択しやすくなります。
実際のレース中には、次のような飲み方がよく見られます。
まずスポーツドリンクでエネルギーと電解質を取り、その直後に水を含んで口をすすぎ、さっぱりさせてからボトルを手放すという流れです。
スポーツドリンクをそのまま飲み続けると甘さが気になる選手もいるため、水と組み合わせることで飲みやすさを保ちつつ、必要な成分を効率よく取り入れる狙いがあると考えられます。
また、長距離レースでは「一度に大量に飲むより、少量を何度かに分けて摂る」ことが推奨されることが多く、箱根駅伝のような駅伝形式でも、限られた給水ポイントでどの飲料をどのくらい摂るかが、レース全体のリズムに影響します。
2種類のボトルを使い分ける前提でペース配分や補給計画を立てているチームもあり、給水は戦術の一部としても位置づけられています。
このような背景を踏まえると、箱根駅伝の給水2種類は単なる演出ではなく、スポーツ医学の知見と競技運営のノウハウを踏まえて設計された、合理的な仕組みだと理解できます。
ボトルの色や選手の取り方に注目しながら観戦すると、各チームがどのような補給戦略を採用しているのかも見えてきて、給水シーンの奥行きがいっそう感じられるようになります。
給水ルールの基本整理

箱根駅伝の給水は、各大学の裁量に任されているわけではなく、主催者である関東学生陸上競技連盟が定めた詳細な「給水要領」に沿って実施されています。
この要領では、使用する飲料の種類、給水地点の数と位置、給水員の条件や動き方などが細かく規定されており、公平性と安全性を両立させることを目的としています。
第101回大会の給水要領では、給水に使用するのは主催者が用意する水と指定ボトルであり、そのボトルの中身には主催者が用意したスポーツドリンクまたは各校が用意した飲料を入れることが認められています。
また、給水場所は1区と6区を除く各区間の10km付近と15km付近(9区は14.4km付近、5区は7.1kmと15.8km付近)の2か所とされ、その他の場所での任意の給水は禁止されています(出典:一般社団法人関東学生陸上競技連盟「第101回東京箱根間往復大学駅伝競走 給水要領」)。
こうした規定を踏まえたうえで、前提となる構造を整理し直すと、次のようになります。
| 区間 | 給水の有無・位置 | 備考 |
|---|---|---|
| 1区・6区 | 給水なしとされています | 集団走行や山下りで安全面を考慮した運用と説明されています |
| それ以外の区間 | 約10km・15km地点付近に各1か所 | 9区のみ14.4km地点など一部例外あり |
| 給水内容 | 水とスポーツドリンクの2種類 | 主催者が準備した飲み物を使用すると要領に記載 |
1区と6区に給水が設けられていないのは、スタート直後の集団走行区間と、スピードの出やすい山下り区間であることが理由とされています。
これらの区間では、給水のために進路を変えたり、ボトルの受け渡しで速度差が生じたりすると、接触や転倒のリスクが高まりやすいため、あえて定点給水を行わない運用が採用されています。
一方、中盤の10km付近と終盤の15km付近に給水を設置するのは、汗による水分・電解質の喪失が進むタイミングと、レース展開が大きく動くタイミングが重なりやすいためです。
特に、往路5区や復路9区のように高低差が大きい区間では、上りや向かい風の影響で消耗が激しくなることから、給水地点の位置が走者のペース維持に直結します。
給水ルールは、地点や回数だけでなく、給水員の動き方にも細かい条件を設けています。
例えば、給水員は水とスポーツドリンクの両方を持った状態で走者と並走し、手渡しを行うこと、並走距離は一定の範囲に制限されていること、給水後は速やかにコース外側に退くことなどが定められています。
また、走者が放棄したボトルは各大学が責任を持って回収することも求められており、道路環境への配慮もルールに組み込まれています。
さらに、2015年の第91回大会以降は、監督やコーチが運営管理車から降りて任意の給水を行うことが全面的に禁止されました。
これにより、給水はあくまで定められた給水ポイントでのみ行う形に統一され、チームごとの独自給水による不公平感や、道路上での危険な停止・並走といったリスクの軽減が図られています。
このように、箱根駅伝の給水ルールは「どこで」「何を」「誰が」「どのように」渡すのかが体系的に設計されています。
テレビ中継で給水シーンを見るときに、給水の有無や位置だけでなく、給水員の動きやボトルの種類にも目を向けると、ルールの意図と運営側の考え方がより明確に理解できるようになります。
女子が給水係はできるの?

箱根駅伝の給水係というと、ユニフォーム姿の男子部員が選手と並走してボトルを差し出す光景が印象に残りやすく、「女子は給水係になれないのではないか」という疑問を持つ人も少なくありません。
しかし、給水要領や競技実施要項では、給水員の性別を限定する規定は記載されておらず、「各チームの部員あるいは大学が許可した大学関係者」であることが条件の中心になっています。
この「大学関係者」には、男子・女子の学生、マネージャー、職員、指導者などさまざまな立場の人が含まれると解釈されており、女子だから給水係を務められないというわけではありません。
メディアや解説記事でも、女子のマネージャーや女子部員が給水を担当した例が紹介されることがあり、実務上も女子が給水係として関わるケースは存在します。
一方で、給水係を誰が務めるかを決める際には、性別ではなく次のような条件が重視されることが多いとされています。
- 選手とほぼ同じペースで一定距離を並走できる走力があること
- コースの地形や給水地点の位置を十分に把握していること
- 混雑した給水ポイントでも冷静に周囲を確認し、安全にボトルを渡せる判断力があること
箱根駅伝のコースは、平地だけでなくアップダウンやカーブが多く、路面状況や天候によってもコンディションが大きく変化します。
その中で、走行中の選手に接触せず、かつ確実にボトルを手渡すには、一定の走力と経験が求められます。
このため、結果として長距離経験のある男子部員が担当するケースが多くなりやすいものの、それは実務的な判断によるものであり、女子が排除されているわけではありません。
女子が給水係を務める場合でも、求められる役割や責任は男子と同じです。
給水前の待機場所に向かう時間配分や、選手が通過するおおよそのタイムの把握、ボトルの持ち方や差し出す位置の確認など、事前の準備は欠かせません。
レース本番では、選手に声をかけるタイミングや距離感も含めて、事前に想定しておくことが大切になります。
このような背景から、「女子が給水係はできるの?」という問いに対しては、ルール上は可能であり、実際にその役割を担った例もあると整理できます。
観戦する際には、給水係の性別だけではなく、その動きや表情、選手とのコミュニケーションにも注目すると、チーム全体でレースを支えている姿がより立体的に見えてきます。
選手と給水係のグータッチも印象的

箱根駅伝の給水シーンを細かく見ていくと、ボトルの受け渡しだけでなく、選手と給水係がグータッチを交わす場面がたびたび映し出されます。
この一瞬の動きは、単なるジェスチャーではなく、レース中のコミュニケーションや心理面のサポートという観点からも大きな意味を持つと考えられています。
グータッチが行われるタイミングは、給水係が2本のボトルを差し出し、選手がそのうちの1本もしくは2本を受け取って数歩並走した直後であることが多く見られます。
走行スピードが落ちないようにしながら、視線を合わせて軽く拳を合わせる動きは、言葉を交わさなくても「予定どおり補給できた」「まだいける」という共有の合図として機能していると捉えられます。
スポーツ心理学の観点では、ハイタッチやグータッチのような身体的接触は、仲間意識や自己効力感を高め、緊張状態にある選手の心理を安定させる効果があると報告されています。
箱根駅伝のように、1区間あたり20km前後を単独で走る競技では、選手が孤独感を抱きやすく、メンタルの維持がパフォーマンスに直結します。
そのなかで、給水ポイントでの人との触れ合いは、精神的な支えとして機能していると考えられます。
また、給水係はチームメイトだけでなく、大学の指導者やスタッフ、場合によっては選手の家族や教授など、選手にとって特別な存在である場合もあります。
そうした人物とのグータッチは、日頃からの関係性がレース本番の一瞬に凝縮されたシーンとして注目されることがあります。
家族や指導者に励まされてきた時間が長い分、その一回のタッチが与える安心感や後押しは非常に大きいと受け止められています。
一方で、グータッチは公式ルールで義務づけられているものではなく、あくまで各チームや選手の判断で行われている動きです。
給水ポイントは他大学の給水員や報道陣も含めて混雑しやすいため、周囲の安全を確保したうえで、走行ラインを邪魔しない範囲で行うことが前提となります。
実際の大会では、選手と給水係が接触しすぎないよう距離をとりつつ、自然な形で拳を合わせる姿が多く見られます。
観戦する側にとっては、タイムや順位の変動に目が行きがちですが、給水シーンのグータッチに注目すると、各チームの雰囲気や、選手と支える側の信頼関係が伝わりやすくなります。
どの選手がどのタイミングでグータッチを交わしているか、また、表情がリラックスしているかどうかを意識して見ることで、レースの裏側にあるメンタル面の状態も想像しやすくなり、箱根駅伝の観戦体験がより深まります。
給水ポイントの特徴整理

箱根駅伝の給水ポイントは、単に距離を区切った場所にランダムに配置されているわけではなく、コースの起伏や環境条件、ランナーの負荷に基づいて計画的に設けられています。
給水要領では、1区と6区を除く各区間に原則2か所の給水地点を定め、走行距離や道路状況を考慮しながら、安全かつ効果的な位置に配置する方針が示されています。
前半の給水ポイント(おおよそ10km付近)は、発汗が増え、体温が上がり始めるタイミングに合わせたものと考えられます。
スタート直後はアドレナリンの影響や集団走による風よけ効果で、自覚的なきつさが抑えられている場合もありますが、10km前後では疲労の兆候が現れやすくなります。
この時点で水やスポーツドリンクを補給することで、脱水やエネルギー不足を予防し、後半に向けての土台を整える狙いがあります。
一方、後半の給水ポイント(15km付近など)は、残り5km前後の「終盤戦」に向けた最後の補給機会として重要性が高い位置づけです。
この地点で十分な水分とエネルギーを確保できていないと、ラストの登り区間やスパート局面でペースダウンを招く可能性が高まります。
特に、往路5区の山上りや復路9区のアップダウンなど、体力を大きく消耗する区間では、給水ポイントの前後でレース展開が大きく変わるケースも少なくありません。
給水ポイントでの2本のボトル
給水ポイントの最も分かりやすい特徴として、給水係が水とスポーツドリンクの2本を同時に持ち、選手に差し出すスタイルがあります。
ボトルは色分けされたテープやキャップで種類が判別できるようになっており、選手は走りながら一目でどちらが水でどちらがスポーツドリンクかを認識できるように工夫されています。
この2本持ちのスタイルは、選手が自分のコンディションやレースの流れに応じて柔軟に選択できる点が大きなメリットです。
例えば、気温が高く汗の量が多い日には、電解質を補えるスポーツドリンクを優先しつつ、口の中をさっぱりさせるために水も一口含むといった飲み方が考えられます。
逆に、胃腸への負担を抑えたい選手は、スポーツドリンクを最小限にとどめ、水を中心に少量ずつこまめに摂るという選択肢も取ることができます。
給水ポイント内の安全確保にも特徴があります。
給水所の前後には立ち入りが制限される区間が設定されており、一般の観客やスタッフが選手の走行ラインに入り込まないように配慮されています。
また、選手が飲み終えたボトルやスポンジを投棄する位置もルールで定められており、他の選手の足元に転がって転倒を招かないよう注意が払われています。
各大学は、所属選手が使用したボトルを回収する責任を負っているため、レースの裏側では給水ポイントごとに回収作業が行われています。
さらに、給水テーブルの配置も、選手がボトルを取りやすいよう工夫されています。
大学ごとに決められた位置にボトルを並べることで、選手は自分の大学のテーブル位置を事前に把握し、スピードを落とさずに目標のボトルに手を伸ばしやすくなります。
給水係は選手の通過タイムを把握したうえで、適切なタイミングでテーブルの前に移動し、並走区間でスムーズに受け渡しを行えるよう準備します。
このように、箱根駅伝の給水ポイントは「どの距離で設置されているか」という単純な情報だけではなく、ボトルの種類や色分け、テーブル配置、安全対策など、複数の要素が組み合わさって成り立っています。
テレビ中継では数秒しか映らない場面ですが、給水ポイントの位置と役割を理解しておくと、選手の表情や動き、給水係との連携から、その区間でどの程度余力が残っているのか、どのような戦略をとっているのかといった背景を読み取りやすくなります。
箱根駅伝の観戦をより深く楽しみたい場合は、「次の給水ポイントはどこか」「そこで選手がどちらのボトルを手にするのか」「ボトルを受け取ったあとのフォームが変化していないか」といった視点を意識してみると、給水2種類の意味やチーム戦略が立体的に浮かび上がってきます。
箱根駅伝で給水2種類の仕組み

箱根駅伝の給水シーンには、単に「水分を渡す」という以上の複雑な仕組みが隠れています。
給水係は誰でも務まるのか、現在のルールはいつから形づくられてきたのか、そして父親や教授といった特別な存在が給水係として登場する理由など、その背景には大会運営や選手サポートに関する深い意図があります。
また、スペシャルドリンクの扱いがどのように変化してきたのか、給水の瞬間に見られる乾杯のような動作が何を意味しているのかなど、知っておくと観戦の理解が大きく広がるポイントが数多く存在します。
ここからは、箱根駅伝の給水2種類を支える仕組みを、多角的な視点から掘り下げて解説していきます。
誰でもできる?の疑問解説

テレビ中継で給水シーンを見ていると、「給水係は誰でもできそうに見える」と感じる人もいます。
しかし、箱根駅伝の給水は、単なるアルバイトやボランティアではなく、主催者の定める要領に基づいて任命された限られた人だけが行える役割です。
関東学生陸上競技連盟の給水要領や競技実施要項では、給水員は各チームの部員、もしくは大学が許可した大学関係者であることが前提とされており、全く関係のない一般の観客や外部の人が給水を担当することは想定されていません。
ここでいう「大学関係者」には、現役の男子・女子部員に加えて、監督やコーチ、マネージャー、職員、研究室の教員などが含まれる場合があります。
つまり、箱根駅伝に出場する大学に何らかの形で所属し、チーム運営や学生指導に関わっている人たちが候補となります。
幅広い立場の人が給水に携わる余地はありますが、その一方で、誰でもすぐに務まる役割ではないという側面もはっきりしています。
その理由として、給水係には次のような能力や準備が求められます。
- 選手と並走できるだけの走力
- コースや給水ポイントの位置を正確に把握していること
- 安全にボトルを渡し、周囲の選手の妨げにならない動きができること
箱根駅伝の走者は、1kmあたり3分前後のペースで走ることが一般的です。
給水係は、そのスピードに近いペースで短い距離とはいえ並走する必要があり、心拍数が急激に上がる中でも、ボトルを落とさないように腕のコントロールを維持しなくてはなりません。
走力が不足していると、選手に追いつけなかったり、無理にスピードを上げた結果として転倒や接触のリスクが高まったりするおそれがあります。
さらに、給水ポイント周辺は複数大学の給水員やオフィシャル、報道関係者が集まりやすく、状況判断と空間認識が欠かせません。
どのタイミングで車道側に出るか、どの位置でボトルを差し出すか、他大学の走者や給水員と接触しないようにどう動くかなど、瞬時に判断しながら動く必要があります。
これらの判断は、事前のミーティングやシミュレーションに加え、競技全体の流れやコースの特徴を理解していることが前提になります。
このように、ルール上は大学関係者であれば幅広く給水係になることが可能ですが、実際には高い走力と経験、冷静な判断力が求められるため、「誰でもできる仕事」とは言い難いのが実情です。
むしろ、給水係はレース中の選手を最も近くで支える重要なサポート役であり、ボトルを渡すだけでなく、安全と公平性を守る一員として機能していると捉えることができます。
観戦する側にとっても、「誰が給水を担当しているか」に目を向けることで、その大学の準備やチーム体制への理解が深まり、レースの見え方が変わってきます。
いつから導入された経緯

箱根駅伝の給水ルールは、創設当初から現在の形だったわけではありません。
長い歴史の中で、交通事情や安全対策、競技としての公平性といった観点から少しずつ改正が行われ、現在の「定点給水」と「給水2種類」が組み合わさったスタイルに近づいてきました。
その流れを理解しておくと、なぜ今のルールになっているのかがより明確になります。
大きな転換点として語られるのが、2015年の第91回大会から監督による直接給水が禁止されたことです。
それ以前は、監督やコーチが運営管理車から降りて選手にドリンクを手渡す形が認められており、いわゆる「監督給水」が戦術の一部として定着していました。
しかし、車両の停止位置や移動ルートによっては交通への影響が大きくなることや、コース上での人と車の交錯による安全面のリスクが指摘されるようになり、ルールの見直しが進みました。
監督給水の廃止後は、給水を行える場所が主催者の指定した給水ポイントに限定され、各大学はその地点に合わせて給水員を配置する方式へと移行しました。
給水要領には、使用できる飲料は主催者が用意した水と、指定ボトルに入れられたスポーツドリンクなどとすること、給水地点は各区間ごとにあらかじめ定められ、任意の場所での給水は認められないことが明記されています。
こうした規定により、チームによって給水機会や飲み物の種類に差が出にくくなり、公平性が高まったと評価されています。
さらに近年では、給水に用いる飲料の中身についても議論が進んでいます。
従来は、主催者が用意した一定種類の飲料に限られる大会が多く、箱根駅伝でも長く同様の運用が続いてきましたが、選手からは「普段から飲み慣れているドリンクを使いたい」という要望が出ていました。
これを受けて、一部の大会では、主催者が指定するボトルの中に限り、各大学が用意した飲料を入れる形での運用が認められるようになってきています。
関東学生陸上競技連盟が公開している第101回東京箱根間往復大学駅伝競走の給水要領でも、使用するボトルや給水地点、給水員の条件などが詳細に規定され、選手の安全と公平性を確保しつつ、各大学が工夫できる余地も一定程度認める形になっています(出典:一般社団法人関東学生陸上競技連盟「第101回東京箱根間往復大学駅伝競走 給水要領」https://www.kgrr.org/files/competition/106/20/101hakone%20water%20supply.pdf)。
このように、箱根駅伝の給水2種類の仕組みは、「ある年を境に突然生まれた新制度」というよりも、監督給水の廃止による安全性向上、定点給水の導入による公平性の確保、そして飲料の中身の選択肢拡大によるパフォーマンス重視という、複数のステップを経て形成されてきたものです。
今後も、気候変動による気温上昇やスポーツ栄養学の進歩などの要因を踏まえ、選手の健康と競技性を両立させる方向で、ルールが微調整されていく可能性があります。
父親や教授が給水係している

父親や教授が給水係している
箱根駅伝の給水係と聞くと、多くの人がまず思い浮かべるのは、同じチームの学生ランナーやマネージャーでしょう。
しかし、実際の大会では、選手の父親や大学の教授が給水係として走るケースもあり、そのたびに大きな話題になります。
これは、給水要領が「大学が許可した大学関係者」であれば給水員になれると定めているためであり、家族や教員も条件を満たせば担当できるからです。
選手の父親が給水係を務めるケースでは、長年にわたって子どもの競技生活を支えてきた存在が、箱根路という大舞台で最後のサポート役を担う姿として注目されます。
日々の送迎や練習のサポートを続けてきた家族が、今度は公式な立場でボトルを渡す場面は、多くの視聴者にとって印象に残るシーンとして取り上げられています。
給水ポイントで交わされる短い言葉や表情、ボトルを受け取る瞬間の仕草には、それまでの年月が凝縮されていると受け止められることが多いです。
また、大学の教授が給水係を務めた例も話題になりました。
特に、運動生理学やスポーツ科学を専門とする教員が、自身の研究対象でもある学生ランナーをサポートする立場として給水に携わるケースでは、学問と実践が交差する象徴的なシーンとして報道されています。
研究室で蓄積された知見が、レースでの補給戦略やコンディショニングにも活かされ、その集大成として箱根駅伝のコースに立つという構図は、多くの人の関心を集めてきました。
こうした父親や教授による給水は、ルール上の例外ではなく、あくまで大学が許可した大学関係者としての参加です。
それでも、他大学の学生が給水を行う場合とは異なるストーリー性が強く、家族・指導者・研究者という複数の顔を持つ人物が関わることで、給水シーンの意味合いが一段と広がります。
選手にとっても、日頃から支えてくれている存在が自分のすぐ横を走り、ボトルを手渡してくれることは、大きな安心感やモチベーションにつながると考えられます。
このように、父親や教授が給水係として走る姿は、給水という行為が単なる「水分補給の技術」ではなく、選手の人生や日常と深く結びついた行為であることを象徴しています。
箱根駅伝の給水2種類という仕組みの中で、誰がボトルを渡しているのかに目を向けると、レースの裏側にある人間関係や長年の積み重ねが見えやすくなり、観戦の楽しみ方もさらに広がっていきます。
スペシャルドリンクの扱い

箱根駅伝における飲料の扱いは、水とスポーツドリンクの2種類が基本とされていますが、競技の高度化に伴いスペシャルドリンクの取り扱いも注目されてきました。
マラソンやロードレースでは、選手ごとに調整されたスペシャルドリンクが一般的であり、選手ごとに糖質濃度や電解質バランス、味の好みなどが細かく調整されます。
しかし、箱根駅伝では、ルールによりスペシャルドリンクの使用が長らく厳しく制限されてきた歴史があります。
第100回大会時点の給水要領では、給水に使用できる飲料は主催者が用意した水およびスポーツドリンクに限られ、各大学が独自に用意した飲料を使うことは明確に禁止されていました。
これは、競技の公平性を確保するための措置であり、ある大学だけが高機能ドリンクを用意することで競技力に差が生じるのを避ける意図が背景にあります。
また、飲料の成分によっては健康への影響が懸念されることもあるため、主催者側が安全面を統一的に管理する目的も含まれていました。
このような制限がある一方、近年はスポーツ栄養学の進歩により、選手の個別性に合わせた補給戦略の重要性が強調されています。
特に、長時間の運動では、最適な糖質摂取量や吸収速度、電解質のバランスがパフォーマンスに大きく影響するとされ、一般的なスポーツドリンクよりも選手個々に合った配合の飲料を使用したほうが理想的とする考えが広がってきました。
こうした要望を踏まえ、近年の大会ではルールの一部が見直され、各大学が指定ボトルの中に限り独自の飲料を入れる運用が認められつつあります。
これは、完全な自由化ではなく、安全性と公平性を保ちつつ、選手が普段から飲み慣れたドリンクを使用できるように配慮した折衷的な措置と位置づけられています。
公表されている給水要領でも、飲料の種類やボトルの扱いに関する記載が段階的に変化しており、時代に合わせた改善が図られていることがわかります。
スペシャルドリンクという名称は一般的にはカスタムドリンクを指しますが、箱根駅伝においては、主催者が指定するボトルとルールの範囲内で各大学が工夫できる飲料のことを指す場合もあります。
含まれる栄養成分や味の調整などは大学ごとの判断にゆだねられる部分もありますが、健康や安全に関わる情報については公式要領で示される範囲に従う必要があります。
大会により成分に関する情報の詳細を公表していない場合もあり、記述は「大会要項で定められた範囲の飲み物を使用する」という表現にとどまることが多いとされています。
箱根駅伝のスペシャルドリンクの扱いは、単なる技術的なルールの話にとどまらず、選手の健康管理や栄養戦略、競技の公平性といった複数の要素が交差する領域です。
観戦者にとっても、選手がどのような飲料を選んで補給しているのかを注視することで、各大学がどのような戦略で選手をサポートしているのかをより深く理解できるようになります。
給水2種類の仕組みとあわせて見れば、飲料の選択がどれほどレースの背景に影響しているかが浮かび上がり、箱根駅伝の奥深さをさらに感じられるはずです。
選手と給水係が乾杯

箱根駅伝の給水シーンを見ていると、給水係と選手がボトルを軽く掲げ合う姿が映ることがあります。
この動きは、まるで乾杯するかのように見えることから、視聴者の間で印象深いシーンとして語られることが多くなっています。
もちろん実際には水やスポーツドリンクを飲むための動作ですが、短い時間で心を通わせる象徴的な瞬間として選手と給水係の関係性が表れていると捉えられています。
乾杯のような仕草が生まれる背景には、給水係と選手が日頃から練習を共にしているという強いつながりがあります。
給水係は、事前に選手の通過タイムや補給の好み、どのタイミングで声をかけるべきかまで把握したうえで、レース本番に臨みます。
選手も、どの地点で誰が待っているかという情報を把握しているため、距離が近い関係のなかで自然と意思疎通が行われやすくなります。
実際の乾杯のような仕草は、ボトルを受け取って一口飲んだあと、選手が軽くボトルを上に掲げるといった動作で示されることがあります。
これを受けて給水係が笑顔で軽くボトルを掲げたり手を上げたりする場面があり、レースの中でわずか数秒のやりとりにも関わらず、強い連帯感を象徴しています。
また、ボトルを掲げる動作は単なるパフォーマンスではなく、選手自身が気持ちを切り替えるきっかけにもなり、これからの区間に気持ちを集中させる合図になっているとも考えられます。
このような仕草はチームメイトとの関係だけでなく、父親や教授といった特別な存在が給水係を務める場合にも表れます。
家族や指導者は選手の成長を長年支え続けているため、給水の一瞬に宿る感情の密度が大きく、乾杯のような所作が視聴者に強い印象を残しやすい側面があります。
短い時間でも、選手が安心感や感謝を表すかのような動きを見せることがあり、こうした象徴的なシーンは大会全体のドラマ性を高める要素として語られてきました。
レース戦略の視点で見ると、乾杯のような動作はその時点での余裕度や心理状態を推し量る手がかりにもなります。
選手がボトルを掲げて応対できるということは、呼吸や筋力に一定の余裕があり、状況を冷静に判断できている可能性を示すこともあります。
逆に、給水係に目もくれず、飲み終えた瞬間にすぐ走りへ戻るような場面では、レースに集中していたり、余裕がない状況を示す場合もあります。
このように、選手と給水係が乾杯のようにボトルを掲げ合う動作は、単なるジェスチャー以上の意味を持っています。
水分補給という技術的な側面だけでなく、人間関係・心理・戦略が交差する瞬間であり、箱根駅伝の給水2種類のシーンを象徴する重要な要素となっています。
観戦者にとっても、ただランナーがボトルを受け取るだけではなく、その後の動きや仕草に注目することで、レースの裏側にある感情やドラマをより深く味わうことができるようになります。
【まとめ】箱根駅伝で給水2種類について
最後に本記事で重要なポイントをまとめます。
